研究課題/領域番号 |
17590303
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中山 宏文 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (50253068)
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研究分担者 |
安井 弥 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40191118)
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キーワード | 線維芽細胞 / 筋線維芽細胞 / 潰瘍 / 出血性梗塞 / CD34 / アルファ平滑筋アクチン / M2A oncofetal antigen / 遺伝子発現プロファイル |
研究概要 |
正常消化管組織および消化管疾患(消化管(胃、小腸、および大腸)潰瘍および出血性梗塞)の病変内の線維芽細胞様細胞の亜分類を目的として、まず既存のマーカーの発現を免疫組織化学的に検討した。4種類のタンパク質すなわちCD34、アルファ平滑筋アクチン(以下ASMA)、ビメンチンおよび活性化した腫瘍内の筋線維芽細胞の一部およびリンパ管内皮細胞で発現が指摘されているM2A oncofetal antigen(以下M2A)の発現の有無を、胃潰瘍7病変、十二指腸潰瘍2病変、小腸出血性梗塞11病変、大腸癌に伴う閉塞性大腸炎6病変のパラフィンブロックを用いて、病変部、正常と病変の境界部および正常部の線維芽細胞様細胞において免疫染色を行い、既存の線維芽細胞マーカーの各種病態における発現パターンの差異を検討しところ、 (1)正常組織内の線維芽細胞は、CD34およびビメンチン陽性で、ASMAおよびM2Aは陰性であった。 (2)潰瘍底肉芽組織は、線維芽細胞様細胞は、CD34、ビメンチン、ASMA、およびM2Aはいずれも陰性であったが、漿膜近傍ではM2Aが陽性であった (3)潰瘍瘢痕部では、CD34陽性、ビメンチン陽性、ASMAは一部に陽性で、M2Aは陰性であった。 (4)新鮮虚血部の線維芽細胞(梗塞部では細胞が壊死しているので評価対象にならないので、梗塞周囲のみ評価した)は、CD34陰性、ビメンチン陽性で、ASMA陰性であった。M2Aは漿膜近傍でのみ陽性となった。 さらに、新鮮切除材料からマグネットビーズ法により、線維芽細胞の分離および回収を試みている。 このようなデータの結果を踏まえ、最終年度では潰瘍性大腸炎およびクローン病においても本年度と同様の検討を行う。また、癌および非腫瘍性疾患新鮮切除材料から病変部の適切なサンプリングののち、マグネットビーズ法により、腺維芽細胞の分離および回収をおこないつつあり、遺伝子発現プロファイル解析を行い、線維芽細胞様細胞の亜分類したい。
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