研究課題/領域番号 |
17590305
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古賀 孝臣 九州大学, 大学病院, 講師 (70380615)
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研究分担者 |
米満 吉和 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40315065)
米満 吉和 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (40315065)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 非小細胞肺癌 / AAH / BAC / CHFR / 喫煙 / Aurora-A |
研究概要 |
癌抑制遺伝子の欠失と癌遺伝子の活性化により腫瘍が発生するという概念は広く受け入れられている。新しい細胞周期テェックポイント遺伝子であるCHFRと分裂期の制御こ関わるAurora-Aの発現異常は多様な癌腫で報告されており、前者は癌抑制遺伝子、後者は癌遺伝子として作用する。しかし、肺非小細胞癌(NSCLC)におけるこれらの遺伝子発現異常の頻度および臨床病理学的因子との関連に関する報告はなされておらず、腫瘍の悪性度との関連は不明である。この研究では免疫組織化学的CHFRおよびAurora-A発現を157例のNSCLCを用いて解析し、さらに臨床病理学的因子との関連を検索した。プロモーター領域のメチル化がCHFRのmRNA発現低下に関与することが示されており、CHFRの蛋白およびmRNA発現低下とプロモーター領域のメチル化の関係もNSCLC20例の凍結標本に対してMSP法を用いて調べた。 Aurora-Aの過剰発現とCHFRの発現低下はそれぞれ94例(59.8%)、62例(39%)で見られ、これらの発現異常は腫瘍の分化度と最大径に有意に関連していた。さらにCHFRの発現低下は喫煙者に発生した扁平上皮癌および予後不良に有意に相関し、多変量解析の結果CHFR発現異常は独立した予後因子であることが明らかになった。またCHFR蛋白とmRNA発現の比例関係も明らかであった。また凍結標本の解析でCHFR発現低下は20例中6例に見られ、このうち3例ではプロモーターのメチル化が見られた。 この研究によって、Aurora-AとCHFRの発現異常は腫瘍の悪性形質を進展させることが示唆された。またCHFR発現は喫煙者の扁平上皮癌で有意に障害されていること、その発現異常は有益な予後マーカーになることも示した。プロモーターのメチル化とCHFR発現の低下が相関しない症例もみられ、今後の機序の解明が必要である。
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