研究概要 |
1)CD10/NEP24.11陽性・endothelin A receptor (ET_AR)陽性ヒトリンパ腫細胞株FL-218(ヒト濾胞性リンパ腫細胞株)にCD10/NEP24.11の酵素基質であるendothelin-1(ET-1)を作用させた場合のFL-218細胞の増殖について3H-tymidineの取り込みで検討した。対照としてCD10/NEP24.11陰性・ET_AR陰性ヒトリンパ腫細胞株HBL-1,CD10/NEP24.ll陽性・ET_AR陰性ヒトリンパ腫細胞株HBL-8,CD10/NEP24.11陰性・ET_AR陽性ヒトリンパ腫細胞株H-ALCLを用いた。ET-1を添加した培養系ではヒトリンパ腫細胞の増殖とCD10/NEP24.11あるいはET_ARの発現の有無との間には明らかな有意の差はみられなかった。 2)CD10/NEP24.11陰性・ETAR陰性ヒトリンパ腫細胞株HBL-1にレトロウイルスベクターを用いてCD10/NEP24.11遺伝子導入を行った。ブラストシジン耐性細胞の選択と限界希釈法によるクローニングにてCD10/NEP24.11陽性細胞を作製することに成功した。CD10/NEP24.11の発現は免疫細胞化学染色法,フローサイトメトリー法,Western blot法およびRT-PCR法にて確認された。 3)IgMを介した細胞の増殖に対するCD10/NEP24.11の関与を検討するため,CD10/NEP24.11陽性・SIgM陽性ヒトリンパ腫細胞株HBL-8に抗IgM抗体を添加し,経時に細胞を採取し,細胞増殖を検討した。phosphoramidonでCD10/NEP24.11の作用を抑制するとコントロールに比して細胞増殖が抑制されることから,CD10/NEP24.11は細胞増殖に関与している可能性が考えられた。
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