1.DNAメチル化を指標としたaneuploid関連因子の探索 腺管分離とセルソーティングにより、16症例のmultiploid大腸癌からdiploid癌細胞群およびaneuploid癌細胞群のDNAをそれぞれ回収した。methylated CpG island amplification(MCA)法を用いて両細胞群の間でメチル化状態の異なるDNA断片24種(hypermethylation 11種、hypomethylation 13種)を同定した。この結果により、同一腫瘍内にploidyに依存してメチル化状態が変化する配列が多数存在することが初めて証明された。これらの中には染色体の安定化に関係する遺伝子が含まれることが予想された。 2.SALL4および近傍遺伝子のメチル化の解析 上記の24種の配列の中からSALL4遺伝子に着目し、その近傍遺伝子とともにメチル化状態を検索した。6種の大腸癌培養細胞株における5'上流CpG配列のhypermethylationは、SALL4遺伝子(6種)およびテロメア側近接のZFP64遺伝子(4種)で検出された。さらに5-azacytidine処理後の培養細胞では、両遺伝子の脱メチル化とともに遺伝子発現量の亢進が証明された。またSALL4遺伝子のhypermethylationはdiploid癌細胞群(31%)よりもaneuploid癌細胞群(56%)において高頻度に検出された。以上の結果はメチル化によるSALL4遺伝子の不活性化が大腸癌における染色体の不安定化に関与する可能性を強く示唆した。(平成17年日本癌学会総会で発表)
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