研究課題/領域番号 |
17590322
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
竹下 盛重 福岡大学, 医学部, 教授 (90171636)
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研究分担者 |
木村 暢宏 福岡大学, 病院・講師 (40136445)
渡辺 洋 福岡大学, 医学部, 講師 (40220917)
二村 聡 福岡大学, 医学部, 助手 (10277064)
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キーワード | 病理学 / 発生・分化 / 癌 |
研究概要 |
現状は、まだ十分なデータが出ていない状態である。現在、リンパ節、皮膚、肝臓、消化管のCD3陽性である悪性リンパ腫に関して、TcR遺伝子、δ、γ、β鎖の解析を行っている。その中で、主にリンパ節や皮膚に浸潤する未分化大細胞性リンパ腫という特異な組織像を示す疾患群を検討している。これらの細胞自体が未分化な性格を有しているため癌と間違う様な性格がある。これらは以前のTcR遺伝子のPCRでの解析上、T細胞性であるとされていた。今回これらの例の解析を多数例で試みた。その内、TcR遺伝子の再構成が見られた例が約3割であり、他の7割はTcR遺伝子の再構成が認められないことが判明した。この中でTcRγ、δの再構成のみがあるものは、1例のみで遺伝子レベルでのγδT細胞リンパ腫は少ないことが解った。またこれらTcR遺伝子再構成を見ない腫瘍細胞の性格を細胞マーカーで検討しているが、そのほとんどが細胞障害マーカーであるTIA1を有していたことが判明した。すなわちNK細胞の性格があることがわかった。これらがなぜ他のNK細胞リンパ腫と比較し格段に良好な予後を示すのかをアポトーシスのレベルで検討中である。消化管では、腸炎型T細胞リンパ腫の解析を主に行い、その腫瘍細胞が他のT細胞リンパ腫や他部位のNK/T細胞リンパ腫とどのように異なるかを解析中である。これら腸炎型T細胞リンパ腫においても細胞障害マーカーであるTIA1陽性例が多いが、これらの例はEBVの感染は少ない。また予後は非常に不良である。これの例は小腸に存在する細胞傷害性T細胞の腫瘍化したものであることより、その性格を他のNK/T細胞リンパ腫と比較しより正確なデータをだすと共にそのアポトーシスの機構の違いも検討中である。
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