研究概要 |
1.海外共同研究者との関連 申請者城、冨野を含む28人の世界の腎病理医と臨牀医が、2005年9月にオックスフォードに集合し、IgA腎症組織分類作成のための病変パラメーターの選択と病理データベースの構築法を討論した(Consensus Meeting in Oxford on the Clinico-Pathological Classification of IgA Nephropathy, 2005)。さらに、作成されたスコアーシート(IgA nephropathy working group score sheet)に沿って、北米、アジア、ヨーロッパから300症例(成人250例、小児50例)のIgA腎症症例を収集して臨床病理学的研究をはじめる基盤を作った。さしあたって、40症例を13人の病理医が個別に診断し、その再現性とそれに伴う問題点を、2005年11月の米国腎臓学会と2006年2月の米国病理学会時の会議にて検討した。この国際分類の日本への取り入れ方、すなわち、これまでの日本版組織分類(厚生労働省・日本腎臓学会編IgA腎症の診療指針の2002年改訂版)との融合法も検討している。 2.後方視的多施設共同研究 IgA腎症に関する臨床・病理情報をデータベース化する方法を検討してFile makerにて原案を作成し、2005年12月の第1回IgA腎症臨床病理研究会(順天堂大)にて最終承認を得た。さらに、このデータベースの構築を組織分類へどの様に応用してゆくかが検討された。症例の収集に関しては、全国大学病院から内科82例、国立病院機構腎ネットワークから内科25例、小児科100例のIgA腎症腎生検が収集され、単変量解析と多変量解析により、IgA腎症の各病変パラメーターの臨床予後への影響をオッズ比でしめし,治療群と治療なし群を比較して,各病変の治療による反応性を検証した。また、現行のIgA腎症組織分類(厚生労働省・日本腎臓学会合同委員会)における実際の予後調査を行い、予後分類の判定基準を統計学的に再検討し、2007年の改訂にむけて準備中である。また、現在引き続いて症例を収集中である。
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