研究課題
基盤研究(C)
我々がこれまでに見出したブタ成体肝幹細胞様細胞に特徴的に発現する遺伝子amyloid β precursor protein(APP)とdickkopf 3(DKK-3)の肝分化や肝再生における機能を解析し、肝組織における分化、再生が関わると考えられる慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がんなど肝疾患の診断、治療にこれらの遺伝子を応用することを目的として、本年度は以下の研究を行った。1.ブタを用い胎仔肝の発達、分化と成体の肝再生過程におけるこれら遺伝子の発現を蛋白発現と併せて解析する。2.ヒト肝細胞がん組織(多くは肝硬変を背景とする。)、および肝芽腫におけるDKK-3の発現を解析し、それらがん種の違いによる発現の差異を明らかにする。その結果、1.APPおよびDKK-3はブタ7、13週齢胎仔肝に比べ5週齢胎仔肝に有意に高発現していた。これらの発現は肝分化マーカーであるα-fetoprotein(AFP)およびalbumin(ALB)の発現と同時に門脈域、肝内胆管、肝細胞索の発達など組織学的発達にも逆相関しており、APP、DKK-3の発現は未分化な段階の胎仔肝組織に特徴的であることが示された。またブタ80%部分肝切除モデルを用いた再生肝においては、AFP高発現、ALB低発現、細胞増殖能が高い切除後7日目の肝組織に、DKK-3が有意に高発現していることが明らかになった。切除後7日目の肝組織は門脈域を含む小葉間隔壁、肝細胞索の構造が修復過程にあり、組織学的に5週齢胎仔肝に類似する部位が観察された。2.DKK-3を発現する腫瘍細胞は、肝細胞がんで21%、肝芽腫で79%であった。またDKK-3もしくはAFPを発現する症例は肝細胞がんで58%、肝芽腫では100%であった。以上の結果からDKK-3は肝分化および肝再生に関与する可能性、および肝芽種のマーカーとして有用である可能性が示唆された。
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