研究概要 |
小脳性失調症のモデルであるAtaxia and Male Sterility(AMS)マウス小脳の病的萎縮の細胞性機序を明らかにするために形態学的解析をおこなった。正常に形態形成されたAMSマウス小脳の中央矢状断面の面積は、対照と比較して3週齢85%から12適齢44%と急激に減少した。6週までにほぼ完全に消失するプルキンエ細胞死に伴う樹状突起の消失により分子層の急な萎縮が、また顆粒細胞の部分的な死により顆粒層の萎縮がもたらされた。プルキンエ細胞死の光学顕微鏡的形態の特徴からアポトーシスが考えられたが、電子顕微鏡的形態像、terminal doxynucleotidy transferase nick-end-labeling(TUNEL)法の反応性、および活性化カスパーゼ3の免疫細胞化学的染色では古典的なアポトーシスの所見が乏しかった。一方、顆粒細胞の死は、上記指標から典型的なアポトーシスであった。ams突然変異による一次的なプルキンエ細胞死と、同細胞死に続く二次的な顆粒細胞死は、形態学的にも異なるアポトーシス死であることを明らかにした。これらは、神経変性疾患には多様な様態の神経細胞死がかかわっていることを示唆するものである。(Pathology International, volume 56,in press)
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