研究課題/領域番号 |
17590350
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
金 成豪 九州大学, 大学院・医学研究院, 学術研究員 (60380630)
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研究分担者 |
米満 吉和 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (40315065)
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
岡野 慎士 九州大学, 大学院・医学研究院, 非常勤助手 (10380429)
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キーワード | FLK-1細胞 / 肝組織再生 / LDL受容体欠損マウス / 臍帯血液 / 組織幹細胞 / 分化 |
研究概要 |
再生医療は、移植以外に治療法のない難治疾患の増加に伴い注目されてきたが、ES細胞に比して倫理的問題などを残す。一方、組織幹細胞は、増殖能力に限界があり移植能力に乏しいことや、移植にみあう幹細胞の数の確保が問題とされ移植可能なポテンシャルを持つ細胞の分離に至った報告は未だない。そこで本研究では、(1)申請者らが独自に発見、分離した臓器局在型ES細胞類似細胞(マウス胎児肝由来FLK-1+細胞)の可塑性の解析と、これを利用した治療応用の可能性の探索、(2)比較的材料の確保が可能な臍帯血液から多分化能を持つ前駆細胞の分離同定、を目指して本年度は以下の結果を得た。 分離のマウス胎児肝由来FLK-1+細胞は、様々な増殖因子刺激に応じ血管内皮、平滑筋、肝細胞、胆管細胞特異的マーカーを発現した。一方肝臓内への移植では、未刺激FLK-1+細胞は血管を形成する一方、HGFやEGF刺激FLK1+細胞は胆管や、肝細胞に分化したことから、この細胞の機能的多分化能を証明した。ただ、FLK-1+細胞の長期的engraft能も確認したものの、LDL受容体欠損マウスへの移植による肝機能改善の効果の検討では、胎児の流産、死産などモデルが不安定ため、評価にいたらず原因・モデル設定の改善などを検討中である。 臍帯血由来の組織幹細胞の分離、同定に関しては、CD45-分画細胞のうち、CD34+分画は高いColony形成能力持ち、血管内皮細胞や、平滑筋細胞への両分化能もつ集団が、一方CD34-でCD90+分画に肝細胞前駆細胞の存在を確認した。臍帯血液に造血幹細胞だけでなく、既にコミットした組織幹細胞の存在も明らかにした。 以上の結果より、本年度は、再生医療において移植可能なポテンシャルを持つ細胞の同定に加え、組織幹細胞の確保を含めた治療応用へ向けた実現性を示唆できたと考える。
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