肝再生におけるHDGF(hepatoma-derivedgrowthfactor)の関与を検討するために、F344ラットにAAF/PHモデルを施行してオーバル細胞の発生を促した肝臓におけるHDGFmRNAの発現をNorthernblot法を用いてしらべた。オーバル細胞の発生がみられた肝臓ではUDGFmRNAの強い発現を認めた。更に、insituhybridization法により、UDGFmRNAの発現はオーバル細胞に一致することがわかった。HDGFは肝発生ばかりでなく肝再生においても重要な役割を果たしていると考えられる。 OSM(OncostatinM)はIL-6ファミリーに属するサイトカインであり、OSM特異的受容体欠損マウスでは肝再生が遅延することが知られている。肝再生治療薬としてOSMが有用であることを実証するために、ジメチルニトロサミン(DMN)を投与して肝障害を惹起したラットにratOSMcDNAを導入し、肝障害に対するOSM遺伝子治療の効果をしらべた。OSM遺伝子投与群では、対照群に比べて、体重、肝重量、血清アルブミン値が有意に高値を示し、血清肝障害マーカーであるAST、ALT、ビリルビン値も有意に改善した。また、OSM遺伝子投与群では、対照群に比べて、肝細胞の増殖が促進されるとともに、肝細胞壊死、炎症細胞浸潤、肝線維化、肝細胞のアポトーシスが抑制された。更に、予めラットにOSM遺伝子を投与した場合でも、DMNによる肝細胞壊死の程度は軽減されることがわかり、OSMには肝庇護作用もあることが明らかになった。OSMは抗炎症性作用を示すばかりでなく肝細胞の増殖とアポトーシスを制御する因子であり、OSM遺伝子治療は肝障害の治療法として有用であると考えられる。
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