研究課題/領域番号 |
17590368
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邊 洋一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90323568)
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研究分担者 |
大槻 高史 岡山大学, 工学部, 講師 (80321735)
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キーワード | 寄生性線虫 / ミトコンドリア / タンパク質合成 / 機能性RNA / tRNA / EF-Tu / リボソーム / 線虫 |
研究概要 |
タンパク質合成系の装置は、種を超えて保存性が高いと考えられてきたが、近年、その例外が(特に動物や原虫)ミトコンドリア(mt)のタンパク質合成系に多く見出されてきた。我々はこれまで、寄生性線虫を含む線形動物mtに注目し、研究を進めてきた。特に、大部分の線形動物mtDNAにコードされるtRNAには通常のクローバーリーフ型の二次構造を形成できるものは一つも存在せず、代わりにTアームまたはDアームを失ったtRNAのみ存在する。我々はこれらのtRNAと相互作用するペプチド伸長因子EF-Tuが、遺伝子を重複させ、重複した遺伝子がそれぞれ独自に進化していることを示してきた。また、一方のEF-Tu(EF-Tu2)はtRNAがセリンを結合している場合のみ、tRNAと結合した。そこで、本年度は線虫EF-Tu2のアミノアシル基特異性を、アミノアシル基に特異性を示さないバクテリアのEF-Tuに移植することを試みた。その結果、バクテリアEF-TuとアミノアシルtRNA共結晶構造において、EF-Tuのアミノアシル基の結合ポケットおよびその周辺に位置するアミノ酸残基を、線虫EF-Tu2の残基に様々な組み合わせで置き換えていくと、その中にセリンに高い特異性を示す変異体が得られた。一方、線形動物mtDNAにコードされるrRNAも多細胞動物中では最小クラスに属する。今年度は、細胞内に微量しか存在しないmtリボソームを効率よく調製するため、mtリボソームタンパク質候補の一つのcDNAにアフィニティタグをコードする配列を付加したものを線虫に導入し、この外来DNAを維持した組換え線虫を作成した。この線虫内では、アフィニティタグを持ったタンパク質がミトコンドリアに移行し、さらに粗リボソーム画分に、このタンパク質が含まれることがわかった。
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