研究課題/領域番号 |
17590369
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
矢野 泰弘 福井大学, 医学部, 助手 (60220208)
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研究分担者 |
高田 伸弘 福井大学, 医学部, 助教授 (90003409)
斎藤 あつ子 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00223131)
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キーワード | 新興感染症 / バベシア症 / 原虫 / ベクター / マダニ / 感染様式 |
研究概要 |
マダニ媒介性で野鼠の赤血球に寄生するバベシア原虫Babesia microtiが、1999年に日本でも初めてヒトへの感染が報告され、新興感染症の一つとして注目されることとなった。我々はこれまで、患者由来原虫株(神戸型)は日本既知株(大津型)と遺伝的に異なることを示し、そして大津型が各地の野鼠に広く感染を見るのに対して、神戸型は淡路島の野鼠からのみ検出できていた。そこで今年度から開始の課題では以下の三点を中心に検討し、ベクター確定に向けて種々の知見を得た。 1.マダニから神戸型の直接検出を試みること 各地のマダニを採集し、唾液腺からPCRによるバベシア原虫遺伝子の検出、加えて組織学的検討を行った結果、神戸型原虫は今のところ検出し得ていないが、北海道産シュルツェマダニからは米国型と遺伝的に類似する型を、また長野産ヤマトマダニから大津型と遺伝的に異なる長野型を検出した。 関係試料の採集:2005年5月〜6月、兵庫県淡路島、札幌市および長野県軽井沢町にて 関係成果の発表:2006年4月、日本衛生動物学会大会(長崎市)にて口演 2.マダニがバベシア原虫を媒介する仕組みを実験的に確認すること 既にヤマトマダニ唾液腺からは大津型遺伝子を確認していたので、同マダニによるバベシアの媒介実験を試みたところ、光顕・電顕的にその存在様式を明らかにできた。また、吸血に伴う原虫の形態変化をも確認し得たことで、本マダニは大津型の有力ベクターと思われたが、経期感染の細部を解明するためさらに実験準備中である。 関係成果の発表:2005年10月、日本衛生動物学会西日本支部大会(高知市)にて口演。Microbiology & Immunology 49巻誌上にて発表。 3.日本における神戸型原虫の分布域をさらに検索すること 各地での調査を行った結果、淡路島以外に野鼠における神戸型原虫の濃厚感染地を発見したので、今後はそこで採集されたマダニから原虫株を分離して、媒介機序の解明に努める。 関係試料の採集:2005年10月、島根県。2006年1月、鹿児島県大隈諸島。同年3月、南九州各地にて 関係成果の発表:2006年4月、日本衛生動物学会大会(長崎市)にて口演
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