マラリア感染マウス由来の好中球遊走因子IP18の赤血球凝集活性があることが判った。各種めゲルへの親和性の解析や阻害実験から、レクチンとしての機能があることが確認された。このレクチン活性と好中球遊走活性のエピトープの異同に関して、IP18各種トランケートフォーム解析の結果少なくとも凝集活性に関わる部分はC末端に存在するのに対して、好中球遊走活性のエピトープは78-87の分子の中央部分にあることが判った。また、Anopheles唾液や中腸抽出液には、好酸球遊走活性、好中球遊走活性共に存在することを明らかにした。Anopheles唾液の好酸球遊走活性、中腸抽出液の好酸球遊走活性は共に、マラジア流行地住民血清由来のIgGと抗-chitinase IgG共に結合した。このAnopheles由来の好酸球遊走因子について、その性状を調べたSDS-PAGEによる解析の結果では、唾液は、67Kのバンドが最も強く唾液腺では67Kに加えてのバンドが見られた。これまでの研究で、白血球由来の好酸球遊走因子をクローニングし、キチナーゼファミリーの蛋白質であることを明らかにしてきた。そのためにAnopheles由来の好酸球遊走因子の、キチナーゼ関係の蛋白質である可能性を調べるために、抗キチナーゼ抗体を用いたウェスタンブロットによる解析を行った。唾液及び唾液腺は、抗キチナーゼ抗体で67Kのバンドを認識した。また、ソロモン諸島のマラリア流行地住民の血清にも、唾液腺、中腸の抗原の中で67Kのバンドに結合する抗体が最も多いことが明らかになった。また、流行地住民の抗体はキチナーゼ活性を阻害した。キチナーゼはレクチン機能を持っていることが明らかになっているために、マテリア伝搬においても、好酸球遊走性レクチンが関与していることが示唆された。
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