GDPを基質とする特異なピルビン酸キナーゼIIに閨する投稿中の論立は、N-末端の塩基配列がどのようにアピコプラストとミトコンドリアへの酵素の移行に関与するのか決定しろとの指摘があり、現存そのための実験を継続しており、再投稿の準備中である。またマラリア原虫のピルビン酸キナーゼIIに関しても投稿準備中である。 昨年までの我々の研究で、トキソプラズマの解糖系はその調節機構がとても単純であることが判明している。ヘキソキナーゼの産物であるグルコース6-リン酸が遠く離れた後方の酵素であるピルビン酸キナーゼをアロステリックに活性化することが知られている。我々哺乳類では中間の酵素であるホスホフラクトキナーゼが多彩な調節を受けるが、トキソプラズマではその反応が両方向性の何らを受けない酵素である。グルコース6-リン酸の濃度が全体の流れを規定する要員になっている。そこで我々はグルコース6-リン酸の関与する酵素で、糖新生の重要な役割をはたすヘスホグルコムターセに注目した。遺伝子のデータベース上には2種類のホスホグルコムターゼが登録されている。そこでmRNAのサンプルより両酵素遺伝子をクローニングし、エックスプレッションベクター(pGEX)に挿入した。得られた蛋白質の一方はホスホグルコムターゼの活性を示すが、もう一方の蛋白は活性を示さなかった。活性を示した酵素は現在単一に精製中であり、詳細な性質はすぐに明らかになると思われる。活性を示さない蛋臼に関しては基質の違い、生活史上の発現の時期について検討を行う予定である。
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