赤痢アメーバ(Eh)のゲラニルゲラニル転移酵素II型(GGT-II)のα、βサブユニットおよびRab escort protein (REP)の1次構造の特徴を明らかにするために、ファルネシル転移酵素、ゲラニルゲラニル転移酵素I型、GDIを含めて広範に相同解析、系統解析を行った。 Ehには各々1種類のみのGGT-IIα、β、およびREPが存在した。Ehは、REPが2種類存在しない点、GGT-IIαにLeucine-rich-repeat domainとIg-like domainを欠くという点で、哺乳類とは異なっていた。また、EhGGT-IIαのゲノムDNAは、開始コドン直後にイントロンが存在した。この特徴は、哺乳類や酵母にも同様に認められたが、ショウジョウバエ、シロイヌナズナ、C.elegansにはみられなかった。 Ehのこれらのタンパク質は、他種生物のものとくらべて概してアミノ酸配列の相同性が低いが、それぞれのタンパク質に特有のdomainを保持していた。例えば、EhのREPは他種生物とくらべてアミノ酸の相同性が20%前後と低いものの、REP/GDIファミリーに特異的なConserved domainもち、REP特異的(GDIにはない)フェニルアラニンを保持していた。系統樹では、Ehのファルネシル転移酵素、ゲラニルゲラニル転移酵素I型およびII型のそれぞれのα、βサブユニット、REP、GDIは、各々他種生物のものと大きくひとまとまりをつくり、他種類のタンパク質と完全に分枝した。また、各タンパク質において、Ehは哺乳類のような高等生物から離れて分枝したが、分枝位置がタンパク質の種類ごとに一定せず、他種生物とはっきりとしたクレードもつくらなかった。
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