研究課題
基盤研究(C)
我々は、ヒトの病原性寄生原虫である赤痢アメーバ(Eh)のプレニル転移酵素について研究しており、先に、Ehのファルネシル転移酵素がEhのRasタンパク質の多く(C末端がFやL)をファルネシル化しないことを明らかにした。これは、他種生物でそれまで知られていた「RasはC末端にSやMをもち、ファルネシル転移酵素によってファルネシル化される」ということと異なるものであった。Ehのゲラニルゲラニル転移酵素I型(GGT-I)と数種のRasの組換えタンパク質をつくり酵素の基質特異性を調べたところ、EhGGT-IはC末端がFやLのEhRasをゲラニルゲラニル化することが明らかになった。すなわち、EhではRasのほとんどがEhGGT-Iによってゲラニルゲラニル化されている。次にEhのゲラニルゲラニル転移酵素II型をクローニング、シークエンスし、組換えタンパク質を作製して他種生物と同様にREP依存性にRabをゲラニルゲラニル化することを確認した。赤痢アメーバのゲノムデータベース(12×読まれている)を相同検索したところ、イソプレニルニリン酸合成酵素(IPPS)のドメインをもつほぼ同一のタンパク質をコードする3つの遺伝子のみが存在した。種々の生物のファルネシルニリン酸合成酵素(FPPS)とゲラニルゲラニルニリン酸合成酵素(GGPPS)を系統解析したところ、大きく3つのクレイドに分かれた。それらは、(1)FPPS、(2)哺乳類、魚類、真菌等のGGPPS、(3)細菌のGGPPSである。赤痢アメーバとその近縁種であるEntamoeba disparのIPPSは、細菌のGGPPSのクレイドの端から分枝した長い枝を形成した。このことから、赤痢アメーバのIPPSはGGPPSであり、系統的に特異な位置にあると推測した。
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