研究課題
基盤研究(C)
本研究は薬剤耐性原虫分布に影響を与える疫学因子や薬剤圧レベルの異なるいくつかのフィールドから得られた原虫耐性遺伝子周囲に存在するマイクロサテライト多型解析を行うことによって、「耐性原虫がいつ頃出現し、どのような時間的、空間的な広がりを持って定着したのか」について考察するものである.平成17年度における本研究の主な作業は、基礎実験として、各種薬剤耐性遺伝子に関連した「信頼しうる」マイクロサテライトマーカーの決定を行うことであった.Nair(Mol Biol Evo)、Roper(Science)らの報告を元に、基礎実験を行い、Dhfrについては、近傍のマイクロサテライトとして、D_100_1(-4.49kb)、D_100_8(-3.87kb)、D_104_5(-0.1kb)、D_106_8(0.52kb)、D_107_7(1.48kb)、D_112_2(5.87kb)が解析に適するマーカーと判断できた.また、遠位では、D 391(-363.33kb)、C4M40(-57.68kb)、D750(-29.61kb)、C4M71(+30.31kb)、D_1055(+299.72kb)が適当とされた.ケニア、ガーナ、パプアニューギニア、ヴァヌアツ、カンボジア、タイについて、上記マイクロサテライトが分析され、以下の知見を得ることができた.1.東南アジア、南太平洋地域にかけて分布するファンシダール耐性原虫の起源は二つある.2.一つはおそらくタイより発生し、広く東南アジア、南太平洋の諸国に分布している.もう一つは、ニューギニアで発生し、現在の分析では、他地域への拡散が見られていない型である.3.タイより発生した耐性原虫はアフリカ諸国のサンプルからも検出された.
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Infection, Genetics and Evolution (In press)