病原真菌Cryptococcus neoformansの細胞周期は電子顕微鏡的県研究から、C. neoformansの紡錘極体は、1)間期においては核膜の外側に局在し、ダンベル状または棒状を呈すること、2)核分裂初期に膨潤し、多くの細胞質微小管と会合を始めること、3)中期〜後期には円盤状を停止、多くの核微小管と会合し、紡錘体極に位置すること、4)終期の終わりには核膜の外側に位置し、球状を対すること、5)紡錘極体の複製は細胞分裂のすぐ後におこると推定されていることなどが明らかになった。この研究からC. neoformansの紡錘極体の動態はモデル酵母Saccharomyces cerevisiaeのものとは異なることがわかった。また、細胞終期制御の鍵分子サイクリン依存性キナーゼについては、S. cerevisiae等で、リン酸化反応により、その立体構造と生物機能を変化させて様々な分子、等に各種サイクリンと結合、解離することにより、その基質特異性を変化させて細胞終期を制御していることなどが詳細に解析されている。C. neoformansにおいてもCdk1と各サイクリン分子間相互作用の詳細が明らかにされ、その特徴的な細胞終期制御の分子機構の解明が期待されている。そこでバイオファマティックス的手法を用いて、本金両分しの結合状態をin siliccoでモデリングしてみると、非常にエネルギー的にも安定な関係であると思われた、両分子相互作用の構造機能相関解析を進めている。 また、C. neoformansの感染成立におよぼす細菌との相互作用に着目し、StaphylococcusaureusがC. neoformans細胞に付着しC. neoformansがDNA断片化を伴い死滅することを見いだしてきたが、この付着と死滅は電子顕微鏡で明瞭に観察されされ、付着に関する各々の細胞表層物質についても解析した。
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