セレウス菌NC7401株の前ゲノム解析からセレウス菌の嘔吐毒素セレウリドの合成に関与する遺伝子はプラスミド上に存在することがわかっている。さらに、NC7401株以外のセレウリド産生性セレウス菌の解析から、他の株においてもセレウリド産生系がプラスミドに存在し、それらの構造解析から、互いに類似した構造を持っていることがわかってきた。一方、非嘔吐型セレウス菌のプラスミドは嘔吐型のプラスミドに類似したものと、そうでないものがある。非嘔吐型セレウス菌のプラスミドで嘔吐型と類似の構造を持つプラスミドは複製や分配機構も同じであると考え、まず非嘔吐型セレウス菌のプラスミドを解析した。セレウリド非産生株40株中、サザンプロットやPCR scanningにより嘔吐型セレウス菌のプラスミドと類似の構造を持つと思われるものは13株であった。PCR scanningの結果から、嘔吐型プラスミドとの類似部分は45kb、25kb、50kbの3個所であった。これらのうち45kbの領域にはDNA polymerase IIIやRNA-directed DNA polymeraseが存在し、また、GC skewもこの領域において反転が見られることから、この領域を5kbずつ増輻出来るようなプライマーを作成し、PCRにより増幅し、大腸菌では複製出来るものの、枯草菌では複製出来ないプラスミドにクローニングし、枯草菌にtransformationした。このうちWhole-BC primer No.36-38の領域を含む断片をtransformした場合、コロニーが観察されたところから、現在複製に必要な領域の決定に向けて、さらに詳細に検討中である。
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