研究課題
基盤研究(C)
偏性細胞内寄生性細菌である肺炎クラミジア[Chlamydia (Chlamydophila) pneumoniae]は10数年前より、ヒトからヒトへ伝播する呼吸器感染症の原因微生物として知られるようになった新興感染症の病原体である。本菌呼吸器感染症は、しばしば慢性化し、喘息や慢性気管支炎の原因としても注目されている。一方、近年になって、C.pneumoniae感染症と糖尿病、高血圧、肥満等の生活習慣病に併発する動脈硬化症との関連性が明らかになってきた。その詳細な機構は未だ明らかではないが、末梢血液単核球細胞(PBMC)や動脈硬化部位からC.pneumoniae遺伝子や生菌が検出されることより、本菌が呼吸器から何等かの細胞を介して動脈血管に移行し、動脈硬化病態形成に関与しているものと考えられる。C.pneumoniaeは肺ならびに気道上皮系細胞に感染するが、肺胞マクロファージ等の単球/マクロファージ系細胞においても同様に感染することが既に知られている。それ故に、呼吸器から動脈血管への媒介細胞として単球/マクロファージ系細胞が重要な役割を演じていると考えられている。最近になって、ヒト末梢血液中のCD3陽性リンパ球よりC.pneumoniae遺伝子が検出されるとともにC.pneumoniaeがリンパ球中においても単級/マクロファージ系細胞と同様に感染し、発育・増殖が可能であることが明らかになり、リンパ球も(C.pneumoniaeを肺から動脈血管に移行させうる媒介細胞として重要な役割を演じていると考えられる様になって来た。またリンパ球内に存在するC.pneumoniaeは、抗生物質やサイトカインにより活性化した細胞の影響を受け難く、容易に生体の排除機構からエスケープし潜伏・持続感染を成立しうる可能性がある。さらに動脈硬化症病態形成においてリンパ球等免疫担当細胞が重要な役割を演じているが、C.pneumoniaeのリンパ球への潜伏・持続感染により誘導される免疫応答の変化が動脈硬化病態形成機序に極めて大きな影響を及ぼす可能性もある。それ故に、リンパ球細胞内でのC.pneumoniaeの感染様式を明らかにすることは、本菌による慢性呼吸器疾患や動脈硬化症発症機序を明らかにする上で極めて有用であると考えられるが、未だその詳細は明らかになっていない。そこで申請者等は、本研究において(C.pneumoniae感染リンパ球の細胞レベルでの動態ならびに本菌のリンパ細胞内での潜伏・持続感染様式を明らかにすることを目的として本研究を実施した。まずリンパ球細胞球株やマウスPBMCにC.pneumoniaeをin vitroにて感染させ細胞内での菌の動態ならびに細胞機能修飾株やマウスPBMCにC.pneumoniaeをin vitroにて感染させ細胞内での菌の動態ならびに細胞機能修飾について検討を行いCD3ならびにCD25分子の発現が修飾されることを見いだした。C.pneumoniae感染免疫担当細胞からの除菌が極めて困難であることを分け分けは以前報告しているが、免疫担当細胞(単球系細胞株)に感染した(C.pneumoniaeを効果的に排除する薬剤を見つけ出すことに成功した。さらにC.pneumoniae感染により本菌が生菌レベルにて末梢血液に移行することをNODマウスにて確認し報告することができた。
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