研究課題/領域番号 |
17590401
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
長岡 功 順天堂大学, 医学部, 教授 (60164399)
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研究分担者 |
村上 泰介 順天堂大学, 医学部, 助手 (40384135)
桑原 京子 (新井 京子) 順天堂大学, 医学部, 助手 (10167976)
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キーワード | 感染症 / 細菌 / 敗血症 / 抗菌ペプチド / アナンダミド / エンドトキシン / リポ多糖(LPS) / マクロファージ・単球 |
研究概要 |
【目的】敗血症は救急救命治療の発達した先進国においても致死的経過をたどる重篤な病態であり、その多くにグラム陰性菌、陽性菌感染が関与している。グラム陰性菌由来のLPSが炎症細胞を刺激すると、内因性カンナビノイドであるアナンダミドが細胞外に放出され、さらに、細胞がサイトカイン刺激を受けるとHMGB(high mobility group box)-1が細胞外に放出される。そして、アナンダミドは早期メディエーターとして敗血症における低血圧性ショックに、また、HMGB-1は後期メディエーター"death mediator"として多臓器不全に深く関わっている。一方、申請者は今までに、自然免疫に関わる抗菌ペプチドcathelicidinが、エンドトキシンショックにおいて防御的に働くことを示している。以上のような研究経過から、申請者は、cathelicidinを用いることによって、アナンダミドやHMGB-1の動態を抑制し、敗血症性ショックを安全かつ有効に制御できるのではないかという着想に至った。そこで本研究では、アナンダミド生成とHMGB-1放出に及ぼすcathelicidinの影響をin vitroで検討した。 【方法】RAW264.7細胞をcathelicidinであるCAP11の存在下、非存在下でLPS刺激した後、Bligh&Dyer法により総脂質を抽出し、DBD-COCL標識した後、HPLCによってアナンダミドを定量した。また、HMGB-1の放出をwestern blot法で定量した。さらに、細胞膜CD14とLPSの結合に及ぼすCAP11の作用をflow cytometryで解析した。 【結果・考察】CAP11は、LPSの刺激によるRAW264.7細胞からのアナンダミド生成とHMGB-1の放出を1μg/mlで有意に抑制した。さらに、CAP11はLPSのCD14に対する結合を1μg/mlでほぼ完全に抑制した。以上の結果から、CAP11のエンドトキシンショックに対する防御作用の機序として、アナンダミド生成とHMGB-1放出の抑制が関与することが示唆された。
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