研究課題
基盤研究(C)
【目的】敗血症は救急救命治療の発達した先進国においても致死的経過をたどる重篤な病態であり、その多くに細菌感染が関与している。好中球は感染防御において重要な働きをしているが、敗血症ではその寿命が延長し、活性化された好中球が組織・臓器障害に関わると考えられている。一方、cathelicidin(LL-37)やhBDs(human β-defensins)などの内因性抗菌ペプチドは殺菌作用の他に免疫担当細胞の機能を調節することが近年注目されている。そこで我々は、これら抗菌ペプチドの好中球アポトーシスに及ぼす影響について検討した。【結果】LL-37とhBD-3は好中球の自発的なアポトーシスを強く抑制することがわかった。また、LL-37とhBD-3の作用によって、ERKのリン酸化、抗アポトーシスタンパク質Bcl-XLの発現、さらにカスパーゼの活性低下が誘導されことがわかった。さらに、LL-37とhBD-3による好中球アポトーシスの抑制は、ホルミルペプチド受容体FPRL1(formyl-peptide receptor-like 1)やヌクレオチド受容体P2×_7の阻害剤、およびケモカイン受容体CCR6に対する中和抗体によってそれぞれブロックされることがわかった。【考察】cathelicidinやデフェンシン等の抗菌ペプチドは殺菌作用によって生体を微生物感染から守るだけでなく、特異的な受容体に作用して好中球のアポトーシスを抑制し、食細胞としての機能を維持することによって微生物感染に対して防御的に働くと考えられる。しかし、これらの抗菌ペプチドは好中球を活性化し、その寿命を延長することによって敗血症等の病態において組織・臓器障害を増悪させる可能性も考えられる。
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