研究結果は、(1)アドリアマイシン5μM以上で、細胞傷害性を示すMTT活性の低下が認められた。しかしながら、LPSの前処置により、MTT活性の低下が抑制された。LPSのこの抑制効果は、アドリアマイシン処理の1時間後でも、抑制可能であった。(2)アドリアマイシン処理細胞の細胞死は、DNA断片化、アネキシン結合、ニックエンド染色が陽性であったことから、アポトーシスであることが明らかになった。LPSはこのアポトーシスを抑制した。(3)LPS以外でも、CpGDNAもこのアポトーシスを抑制したが、TNF-alphaやIFN-gammaでは抑制できなかった。(4)アドリアマイシン処理RAW264.7のDNA傷害をエンドトキシンは抑制しなかった。(5)アドリアマイシン誘発アポトーシスは、p53抑制剤により抑制された。また、LPSは、アドリアマイシンによるp53の活性化、核内移行を抑制した。エンドトキシンがアドリアマイシン誘発アポトーシスを抑制した。以上のことは、平成17年報告書に記載した。LPSがアドリアマイシン以外の抗がん剤5フルオロウラシルやトポテカンによるp53の活性化を抑制し、それらの抗がん剤による細胞傷害を阻止することを新たに見出した。他方、LPSは、DNA傷害を伴わない抗がん剤の細胞傷害は阻止できなかった。
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