研究課題
基盤研究(C)
病原性抗酸菌の主要抗原の一つとしてMajor Membrane Protein-II(MMP-II)を同定した。精製したMMP-IIを用い正常健常者末梢単球由来樹状細胞を刺激すると、大量のIL-12p70及びTNFαを産生した。さらに、MMP-IIパルス樹状細胞を抗原提示細胞として用い、自己のCD4陽性及びCD8陽性T細胞を刺激すると、MMP-IIの濃度依存性にT細胞は活性化されIFN-γを産生した。さらに、MMP-IIを樹状細胞にパルスすると、樹状細胞表面のMHC class I・Class II・CD86・CD83抗原の発現が増強し樹状細胞は活性化された。また、MMP-IIに対するモノクローナル抗体を作製し、樹状細胞に抗酸菌を感染させた後、その表面を解析するとMMP-IIの発現が確認された。そこで、抗酸菌に対する自然免疫反応と密接に関係するTLR-2とMMP-IIの相互作用を検討した。TLR-2をHEK293細胞に導入すると、本細胞はMMP-II刺激を受けてNF-κBを活性化させた。さらに、TLR-2に対するモノクローナル抗体存在下で、MMP-IIを用い樹状細胞を刺激するとIL-12p70の産生能は抑制された。次いで、抗酸菌細胞膜に存在するMMP-IIは生体内で免疫担当細胞によって認識され得るか検索するため、抗酸菌感染症患者の末梢血より樹状細胞及びT細胞を分離し、樹状細胞を介してT細胞が活性化されるか検討した。その結果、ナイーブのT細胞のMMP-IIに対する反応性は、正常健常者と抗酸菌感染患者の間に有意の差はなかったが、メモリータイプのCD4陽性T細胞及びCD8陽性T細胞はいずれも患者において有意に強く活性化された。このことは、MMP-IIは生体内においてMMP-IIを認識し、抗酸菌感染患者T細胞はMMP-IIによって感作され得ることを示唆しているものと想定された。従って、MMP-IIは自然免疫及び獲得免疫の両者を活性化し、抗酸菌に対する生体防御反応として重要なタイプ1T細胞を賦活し得る分子であって、新しいワクチンの開発に中心的役割を果たし得るものと考えられた。
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