研究課題/領域番号 |
17590408
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
牧野 正彦 国立感染症研究所, 病原微生物部, 部長 (60238889)
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研究分担者 |
前田 百美 国立感染症研究所, 病原微生物部, 主任研究官 (90311399)
山崎 利雄 国立感染症研究所, 病原微生物部, 主任研究官 (20230401)
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キーワード | 予防医学 / 細菌 / 免疫学 / 分子生物学 / 動物 |
研究概要 |
病原性抗酸菌の主要抗原として同定した抗酸菌細胞膜蛋白Major Membrane Protein-II(MMP-II)をコードする遺伝子の上流に、結核菌Ag85A由来分泌シグナルを繋げ、HSP60のプロモーターを用いて発現を制御するプラスミドを作製しBCG菌に導入し、カナマイシン耐性遺伝子を利用してクローニングした。本リコンビナントBCGをBCG-SMと称し以下の実験に用いた。BCG-SM培養中に分泌されたMMP-IIをアフィニティカラムを用いて精製すると、MMP-IIは大腸菌を用いて得たリコンビナントMMP-IIと同様に、ヒト末梢単球由来樹状細胞を活性化しIL-12p70の産生を誘導した。また、BCG-SMとベクターコントロールBCG(BCG-pMV)の免疫学的性状を比較検討するため、両者を樹状細胞に感染させ、その表面抗原の発現程度を検索すると、BCG-SMは有意に強くHLA-ABC・HLA-DR・CD86およびCD83抗原の発現を増強させ、同時にCD1aの発現低下をもたらした。このことは、BCG-SMはT細胞の活性化を誘導する分子を効率良く発現誘摸することを示唆している。しかし、樹状細胞からのIL-12p70およびTNFαの産生能は両リコンビナントBCGで差は無かった。そこで、BCG-SMとBCG-pMVを樹状細胞に感染させる際のMMP-IIの細胞表面への発現を検討した。その結果、BCG-SMを感染させた場合においてのみMMP-IIが細胞表面に発現され、BCG-SMを感染させる際に予め樹状細胞をクロロキニンで処理しておくとMMP-IIの発現は消失し、かつBCG-SMを熱処理してもMMP-IIの発現が消失した。従って、BCG-SMは樹状細胞内でMMP-IIを分泌し、その結果としてMMP-IIを細胞表面に発現させ、抗原特異的T細胞の活性化を誘導し易くしている可能性が示唆された。
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