研究概要 |
C型インフルエンザウイルスのNS遺伝子産物がsplicingを促進するかribonuclease protection assayにより検討した。NS1とNS2に共通なN末端領域にあるLeu20,Leu45を終止コドンに置換したL20,45stopをtransfectionしたCOS-1細胞ではNS1とNS2ともに発現がほとんど認められず、NS遺伝子のspliced mRNA/unspliced mRNA比はWT-NSの約20%に減少した。従ってNS遺伝子産物(NS1とNS2)のいずれかがsplicing率に必要と思われた。 次にNs遺伝子産物のNS1とNS2のどちらがsplicing促進能をもつかを検討するために、NS1のみが発現するΔNS2(splicingのdonor, acceptor両部位に変異を導入してunspliced mRNAのみが転写される)ならびにNS2のみが発現するΔNS1(共通の1-62番目のアミノ酸に、NS2固有の63-182番目を融合した読み取り枠のみをもつNS遺伝子を組み込んだ発現ベクターpME18S)をM遺伝子発現ベクターとともにCOS-1細胞にcotransfectionし、M遺伝子由来のspliced mRNAとunspliced mRNAの量比が、NS1またはNS2共発現により変化するかを解析した。NS1の共発現によりM遺伝子mRNAのsplicing効率が30%増大する成績を得た。従ってC型のNS1がsplicing促進活性をもつ可能性が示唆された。 上記の成績を感染細胞で解析するために、リバースジェネティクス法でNS遺伝子変異ウイルスを作製中である。
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