研究課題/領域番号 |
17590414
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
竹内 薫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (00192162)
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研究分担者 |
永田 恭介 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40180492)
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キーワード | パラミクソウイルス / 麻疹ウイルス / Cタンパク質 / 病原性 / ウイルス増殖機構 / カニクイザル / 免疫組織染色 / インターフェロン |
研究概要 |
麻疹ウイルスCタンパク質は欠損しても培養細胞でのウイルス増殖に影響がないとの報告があり、アクセサリータンパク質と考えられている。しかしながら、本来の機能は未だに不明である。私達はCタンパク質の機能を解析するため、麻疹ウイルス野外株のリバースジェネティクス系を用いてCタンパク質を発現しない変異株wtMV(C-)を作製した。wtMV(C-)は確かにB95a細胞では麻疹ウイルス野外株と同様に増殖したが、特定の細胞、例えばSLAMを発現させた293細胞では増殖が抑制された。インターフェロンに対する抗体を添加してもウイルス増殖は回復しなかったので、インターフェロンの影響では無いと考えられた。予備的な実験によると、感染細胞の細胞死が抑制されている結果を得た。Cタンパク質は感染細胞の細胞死を抑制している可能性があり、この点に関しては現在検討中である。 一方、wtMV(C-)株の病原性を解析するため、wtMV(C-)株と麻疹ウイルス野外株をカニクイザル各3頭ずつに経鼻接種した。3日目、7日目、11日目に1頭ずつ解剖し、各種リンパ組織および末梢血単核球でのウイルス量を比較するとともに、各種リンパ組織の切片を作製し麻疹ウイルス抗原を免疫組織学的に検索した。その結果、wtMV(C-)を接種したカニクイザルの各種リンパ組織でのウイルス量が非常に低い事が明らかになった。特に、胸腺では約1000分の1のウイルス量しか検出できなかった。また、麻疹ウイルス野外株を感染させたカニクイザルの各種リンパ組織では強い麻疹ウイルス抗原が検出されたが、wtMV(C-)感染カニクイザルの各種リンパ組織ではほとんど検出されなかった。以上のように、麻疹ウイルスCタンパク質がin vivoでのウイルス増殖にも重要な機能を持つ事を初めて示す事ができた。
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