研究課題/領域番号 |
17590414
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
竹内 薫 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (00192162)
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研究分担者 |
永田 恭介 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (40180492)
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キーワード | パラミクソウイルス / 麻疹ウイルス / Cタンパク質 / 細胞内局在 / 核移行シグナル / 核外輸送シグナル / EGFP / CRM-1 |
研究概要 |
麻疹ウイルスCタンパク質は、186アミノ酸よりなる小さな、かつ塩基性に富むタンパク質である。Cタンパク質を欠損しても培養細胞でのウイルス増殖に影響がないとの報告があり、Cタンパク質はアクセサリータンパク質と考えられている。しかしながら、機能に関しては未知の部分が多い。私達はCタンパク質の細胞内局在を解析するため、FLAGタグを付加したCタンパク質(FLAG-C)を作製した。FLAG-Cタンパク質をプラスミドから発現させたところ、意外な事に、FLAG-Cタンパク質は核内に強く局在する事が明らかになった。Cタンパク質のアミノ酸配列を調べたところ、41番目から48番目にPPARKRRQという古典的な核移行シグナルが見いだされた。PPARKRRQの配列に各種の変異を有するC-EGFPタンパク質を作製し細胞内局在をEGFPの発光によって調べたところ、PPARKRRQがCタンパク質の核移行に重要である事を確認した。ところで、Cタンパク質のアミノ酸配列をよく調べてみると、76番目から85番目にLEKAMTTLKLという核外輸送シグナル(LxxxLxxLxL)に類似のアミノ酸配列が見いだされた。EGFPのN末端にLEKAMTTLKLを付加したタンパク質は細胞質内に局在する事、核外輸送シグナルを欠いたHIV Revタンパク質にLEKAMTTLKLを付加するとHIV Revは核外に移行する事、ヒト細胞に発現させたC-EGFPタンパク質は融合させたマウス細胞に移行すること(Heterokaryon assay)より、LEKAMTTLKLが実際に核外輸送シグナルとして機能することを確認した。LEKAMTTLKLは核外移行シグナルとしては弱い部類に属するため、核外に輸送されたCタンパク質は強い核移行シグナルPPARKRRQにより速やかに核内に戻されるものと思われる。興味深い事に、麻疹ウイルス感染細胞にC-EGFP融合タンパク質を発現させると、感染初期にはC-EGFP融合タンパク質は核内に局在するが感染後期には細胞質に局在することが見いだされた。Cタンパク質の細胞内局在の変化の意味は現在のところ全く不明である。この点に関しては、C-EGFP融合タンパク質を発現する組換え麻疹ウイルスを作製して検討する予定である。
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