研究課題
基盤研究(C)
Cタンパク質を発現しない麻疹ウイルスMV-C(-)を作製した。MV-C(-)はB95a細胞ではMV野外株と同様に増殖したが、293/hSLAM細胞では一過性の増殖を示した。また、MV野外株を感染させたカニクイザルの脾臓、リンパ節等には多くのMV抗原が検出されたが、MV-(C-)感染カニクイザルではMV抗原はほとんど認められなかった。以上の結果より、Cタンパク質はin vitroまたin vivoにおいてMVの増殖に重要な機能を有していることが明らかとなった。Magnetofection法とは、ポリエチレンイミンでコートされた超常磁性ナノ粒子と目的の物質を混ぜ、磁力により目的の物質を細胞内に導入する手法である。Magnetofection法によりMVを感染させたところ、MVの感染は30-70倍に上昇することが見いだされた。Magnetofection法は検体中に含まれる微量なウイルスを検出する際に有効な方法であると考えられる。cDNAから発現させたMV Cタンパク質は核内に局在する事を見いだした。核移行にはアミノ酸配列PPARKRRQが重要である事を見いだした。さらに、Cタンパク質のLEKAMTTLKL(76番目から85番目)が核外輸送シグナルとして機能することを確認した。LEKAMTTLKLは核外移行シグナルとしては弱い部類に属するため、核外に輸送されたCタンパク質は強い核移行シグナルPPARKRRQにより速やかに核内に戻されるものと思われる。興味深い事に、麻疹ウイルス感染細胞にC-EGFP融合タンパク質を発現させると、感染初期にはC-EGFP融合タンパク質は核内に局在するが感染後期には細胞質に局在することが見いだされた。Cタンパク質の細胞内局在の変化の意味は現在のところ全く不明であり、今後の研究課題である。
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