研究課題
HCMVはゲノム全長が230kb程度の大きなウイルスであるため、弱毒株の作成は従来細胞培養による弱毒株の分離しかその方法がなかったが、近年HCMV全ゲノムがBACにクローニングされ、相同組換えの技術の進歩により、230kbのゲノムの中の1bpを大腸菌の中で特異的に改変することが可能になった。そこで、種々のリコンビナントウイルスを作成しウイルス増殖に必須なIE2遺伝子エンハンサーを解析した。その結果ヒトサイトメガロウイルスの前初期遺伝子IE2のエンハンサーを全欠損し、TATA boxを含むプロモーターのみを残したリコンビナントBAC DNAからはウイルスが産生されず、IE2遺伝子エンハンサーはウイルス増殖に必須であった。ところがそこにSp1結合部位を含めればウイルスが産生され、エンハンサーに存在する2つのSp1結合部位はウイルス増殖に重要な役割があると考えられた。そこで、Sp1(-75)およびSp1(-55)をどちらか一方のみあるいは両方をそれぞれ欠損したリコンビナントウイルスを作成したところ片方のみを欠損したリコンビナントウイルスでは前初期遺伝子の発現およびウイルス増殖は野生型と変わらないにも関わらず、Sp1結合部位を両欠損したリコンビナントウイルスでは前初期遺伝子の発現およびウイルス増殖が著明に減少した。以上よりSp1(-55)およびSp1(-75)結合部位はウイルス増殖に関してエンハンサーの他の結合部位では代償不可能な機能を持っていると考えられた。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
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