研究課題/領域番号 |
17590443
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
義江 修 近畿大学, 医学部, 教授 (10166910)
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研究分担者 |
稗島 州雄 近畿大学, 医学部, 講師 (10322570)
中山 隆志 近畿大学, 医学部, 講師 (60319663)
長久保 大輔 近畿大学, 医学部, 助手 (10368293)
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キーワード | 形質細胞 / CCR10 / ケモカインレセプター / プローモーター / 転写因子 / Ets / Ikaros |
研究概要 |
CCR10は皮膚特異的に発現するCCケモカインCTACK/ILC/CCL27の受容体として同定され、皮膚指向性T細胞での発現が報告されたが、さらに各種粘膜組織で発現しているCCケモカインMEC/CCL28の受容体であることも明らかにされた。そして我々はCCR10がB細胞では形質細胞の分化段階で特異的に発現してくることを世界に先駆けて報告した。形質細胞の分化にはXBP-1やBlimp-1などの転写因子が重要な役割を担っている。しかしながら、CCR10のプロモーター領域にはこれらの転写因子の認識配列は存在しない。そのためCCR10の発現には異なる転写制御系が関与すると考えられる。そこで本研究では形質細胞におけるCCR10発現に関わる転写因子を同定し、それによって形質細胞分化における新たな転写制御機構を明らかにする。 CCR10のコード領域開始コドンから-1500bp上流までを近位プローモーター領域としてクローニングし、ルシフェラーゼ・レポータープラスミドpGL3に挿入するとともに、長さの異なる種々の欠失変異体を作製した。これらをリポフェクション法によりCCR10を発現しているヒト及びマウス骨髄腫細胞株に導入し、レポーターアッセイを行った。その結果、-110〜-1bpの領域に強いプロモーター活性をみいだした。そしてこの領域に存在するEts-1認識配列に点変異を導入することにより、プロモーター活性は1/8〜1/10に低下した。このことから、Ets-1あるいはEtsファミリーの転写因子がCCR10の発現誘導に重要であることが示唆された。さらに、-137〜-110bpの領域には発現抑制性活性が認められ、その領域に存在するIkaros認識配列に点変異を導入することにより、抑制活性はほぼ消失した。そのため、Ikarosあるいは類似の転写因子がCCR10の発現を負に制御していることが示唆された。今後、Ets-1、Ikaros、あるいはそれらの関連転写因子を高発現あるいはsiRNAにより発現ブロックして影響を解析するとともに、B細胞株を用いたインビトロの形質細胞分化誘導系を確立し、形質細胞分化とCCR10発現誘導におけるそれらの役割を検討する予定である。
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