●医師の偏在及び医師確保等に係る関係学会へのアンケート調査と平成17年度に東北及び九州地域の医学生及び研修医に対して実施した将来進路に関するアンケート調査、平成18年度に都道府県及び山形県内の病院・診療所に対して実施した、医師の偏在及び医師確保等に関するアンケート調査の調査結果や医師確保等に係る厚生労働省の事業や診療報酬改定案などの資料から、その医療政策の効果や今後の推進方向等について考察を行った。●学会に対するアンケート調査については、日本専門医認定制機構に加盟している基本領域の学会(18団体)に対し実施し、17(94.4%)の学会から回答を得た。各学会に係る診療科医師の不足及び地域偏在はほとんどの学会が認識していたが、具体的な現状把握を行っていたのは約6割、解決のための取組みを行っているのは約5割の学会であった。●上記の平成18年度に実施した医療施設へのアンケート調査結果を用いて、山形県およびその二次医療圏における医師の需給体制に関するデータ解析を実施した結果、ケアミックス病院および私的病院において、常勤医師に対する需要が高い病院ほど、常勤医師の転出が多く認められる結果が得られた。しかし、需給面の問題は二次医療圏毎に大きく異なっており、地域毎の対策が必要であることが示唆された。●医師確保関係資料、先行研究等によると、適正医師数など目指すべき需給状況が明らかにされる状況にはいたっていないが、地域の医療が改善されたと実感できるための様々な施策が提案され、それを推進する組織などの体制も整いつつある。しかし、各種の調整や支援程度では、解決に至らないほど深刻な状況になっている場合も多いことから、これまでの国と地方の役割分担等に囚われない、強力なリーダーシップによる施策の推進とそのための国民の理解が必要となってきていることが示唆された。
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