研究課題/領域番号 |
17590449
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大川 淳 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (30251507)
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研究分担者 |
寺本 研一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (80197813)
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キーワード | 医療安全 / 医学教育 / 事故分析 / HAZOP / ガイドワード / プロセスマネージメント |
研究概要 |
【目的】もっとも重大な結果を招く医療事故が多いのは、医師が直接関与する治療や診断手技の領域である。この領域での事故を可及的に減少させるためには、システムの改善のみならず医師自身の安全意識の向上や事故予防技術の習得が極めて重要である。本研究では、医師に対する安全技術の教育手法として、化学・原子カプラントなどの産業分野で用いられているHazard and Operability Study (HAZOP法)の医学教育への応用を目指した。 【方法および結果】産業界の安全管理の専門家に協力を求め、医療行為に内在するリスク要因の洗い出しと分析・評価手法を医療HAZOPとして開発した。医療HAZOPでは、医療行為の時間経過に沿って工程をまとめる作業、ガイドワードに従ったりスクの想定、対策立案を少人数グループによるブレーンストーミングを中心に行う。臨床研修医と整形外科専門医を対象としてHAZOP演習を試行したところ、初期研修医レベルの医療安全の概念を教育する手法として有効であり、専門研修に対しても従来のOJTを補完するものと結論した。また、病院における転倒転落事故や誤嚥事故に関して、看護師や言語療法士と専門医を混合したグループを対象にHAZOP演習を行い、複雑な事故発生要因が明確化され、新たな事故対策が可能となった。医療HAZOPは複数の職種が参加するリスク分析においても有用であり、医療業務全般に応用可能であることが判明した。 【考察】手法自体の有用性は確認できたが、1回のセッションに時間がかかるのが問題と思われた。そこで演習を支援するソフトウェアの開発が今後の課題であり、平成18年度にその一部を開発した。
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