研究課題/領域番号 |
17590460
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
寺崎 仁 日本大学, 医学部, 講師 (90227512)
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研究分担者 |
大道 久 日本大学, 医学部, 教授 (60158805)
梅里 良正 日本大学, 医学部, 助教授 (60213485)
前田 幸宏 日本大学, 医学部, 助手 (10287641)
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キーワード | 医療の質 / 臨床指標 / 病院機能評価 / 診療領域 / 臨床倫理 / 療養病床 / ADL区分 / 医療区分 |
研究概要 |
平成17年度は、米国の病院認定団体であるJCAHOにおける医療安全に関する基本的な方針について、公式ホームページから情報収集を行い質評価や病院認定などとの関係を調査した。また、療養病床に関する質評価指標の検討と高齢者ケアにおける臨床倫理に関わる諸問題の検討を行うために、高齢者の医療やケアなどの研究者と実務者の計8名によって「療養病床の機能と質評価に関する検討会」を組織し、平成18年1月20日に会議を開催した。会議では、平成18年度の政府予算の編成に際し、療養病床に関わる厚生労働省の方針の大幅変更を受けて、緊急的な検討課題として、政策変更に伴う療養病床への影響について議論した。次いで、急性期以外のケアの質評価に関する最近の研究成果について報告があり、患者の状態像把握の方法としてMDSのデータセットを活用し、入院患者の病状変化の予測値と実際の数値との乖離によって質の評価を試みる手法の紹介があった。この研究報告を受けて、わが国の療養病床におけるケアの質評価について意見交換を行った。さらに、今春の診療報酬改定で導入予定の患者の病状に応じた包括支払いは、患者のADLで3区分、医療必要度についても3区分し、痴呆の有無でさらに2区分追加した合計11区分のマトリックスに患者を分類し、各区分ごとに支払額が固定される仕組みであるが、この方法ではケア提供によって病状が好転した場合に支払額が減額される等、良質なケア提供の動機が阻害されるなどの多くの問題点が指摘された。一方、療養病床のケアに関わる倫理的な問題について、研究代表者の寺崎が臨床倫理の専門家へのインタビューやワークショップに参加するなどして、わが国の臨床倫理に関する研究動向の把握に努めた。その結果、高齢者ケアにおける倫理的問題の解決には、多職種によるカンファレンスを活用することが有効であるとの感触を得た。次年度以降は、療養病床の質確保に関する研究の継続とリハビリの臨床指標について新たに検討を開始する予定である。
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