研究課題/領域番号 |
17590466
|
研究機関 | 愛知県立看護大学 |
研究代表者 |
飯島 佐知子 愛知県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80389890)
|
研究分担者 |
平井 さよ子 愛知県立看護大学, 看護学部, 教授 (70290046)
坂梨 薫 横浜市立大学, 医学部・看護学科, 教授 (60290045)
安川 文朗 同志社大学, 大学院・総合政策科学研究科・医療政策・経営研究センター, 所長 (90301845)
福田 敬 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40272421)
賀沢 弥貴 愛知県立看護大学, 看護学部, 助教 (10363954)
|
キーワード | 臨床 / 経済政策 / 経営 / 看護 / 医療安全 / 費用 |
研究概要 |
1.研究目的:転倒・転落の発生率と病棟の看護師人員配置および患者への安全対策の実施状況と転倒・転落の防止の安全対策物品に要する費用との関連を明らかにし、安全で良質なサービスを提供するための人員配置や安全対策の実施のあり方について検討する。 2.方法:調査対象は、平成17年度の全国病院名簿の9026施設から無作為抽出した1500病院および社団法人全国老人保健施設協会加入した3271施設から無作為抽出した1090施設とした。調査期間は、病院が2007年2月10日から3月10日とし、老人保健施設は2007年1月25日から2月28日とした。調査内容は、安全管理者、病棟看護師および財務課職員に調査票の記載を依頼した。調査項目は、病院の概要、病院全体の安全管理委員会の人数と開催時間、研修の開催時間、病棟・療養棟の転倒・転落の発生数、述べ患者数、看護等職員数、1人あたり受け持ち患者数、転倒リスクのある患者数と転倒防止対策の実施患者数および転倒防止物品の購入費用とした。 3.結果:病院の回収数は、101病院(回収率6.73%)の259病棟であり、老人保健施設(以下、老健)の回収数は、104病院(回収率9.54%)161病棟であった。1病棟あたりの転倒インシデントの平均発生率は、病院1.83/1000病日、老健4.06/1000病日であり老健は病院の約2.2倍の転倒が発生していた。転倒アクシデント平均発生率は、病院0.28/1000病日、老健1.08/1000病日であり、老健は病院の約3.8倍の転倒による怪我が発生していた。病棟入院患者に対する転倒リスクのある患者の平均割合は、病院が46.4%、老健が60.0%であった。日勤帯職員1人あたりの受持ち平均患者数は病院6人、老健11人、夜勤帯は病院18人、老健21人であった。転倒防止対策の患者1人あたりの平均実施項目数では、病院4.0項目、老健8.9項目であった。病院では、ベッド柵の利用や転倒アセスメントの実施率が50%を超えているが、その他の対策17項目の実施率は2割以下と低かった。老健では、ベッド柵、移動介助、トイレ介助、運動などは4割以上の入所者に実施されていた。防止物品は、病院では1病棟平均21個あり、購入価格は低床ベッドを含めて1病棟平均237万円であった。老健では8.9個、11万円であった。重回帰分析の結果、病院における転倒アクシデント発生率に関連する要因は、頻尿患者の割合、不穏患者の割合、床マットに患者を臥床させる対策の実施率、抑制帯の使用率、病棟看護師の人数であった。老健では、抗不安薬を使用する患者の割合、病棟看護師の人数であった。 3.結論:転倒・転落の発生率には、看護人員配置数が少ないことや、患者の転倒リスクや防止対策の実施率と関連がある。現状では、リスクのある患者数に対して転倒防止対策の実施率と転倒予防物品の数が少なかった。今後は、患者の転倒リスクに応じた標準的な転倒防止対策プログラムを開発し、人的・物的資源を追加する方策の検討が望まれる。
|