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HBJ127は、癌細胞をはじめとする増殖細胞に広く発現している抗原であるCD98のH鎖を認識するモノクローナル抗体であり、in vitro系で細胞増殖抑制作用を示す。HBJ127は、CD98を標的とした癌治療薬として有用であると考えられるが、異種タンパク質の人体への投与に伴う副作亢進充進していることが明らかにされていることから、HBJ127の認識するCD98エピトープ配列を明らかにできれば、本ペプチドを用いた能動免疫により、生体内にCD98を分子標的とした抗腫瘍免疫を誘導できる可能性がある。本研究では、まず、HBJ127の認識するエピトープについて、ランダムな配列のヘプタペプチドを発現するファージディスプレイランダムペプチドライブラリー(PD-RPL)を用いて解析した。PD-RPLをHBJ127に対して3ラウンドのパニングを行い、さらに、得られたファージクローンをHBJ127に対する反応性を指標としてスクリーニングを行った。ポジティブクローンについて、ヘプタペプチド部分のシーケンスを行い、異なる配列を持つ7個のクローンを得た。ClustalWを用いて得られたペプチド配列とヒトCD98 H鎖配列の相同性を解析した結果、ペプチド配列中にCD98 H鎖の442-444番目の配列と一致する配列(AFS)を見いだした。CD98 H鎖は、ヒト、ラット、マウス間でその配列に高い保存性が見いだされているが、AFS配列中F(フェニルアラニン)はヒトに特異的なアミノ酸であった。HBJ127はヒトCD98と特異的に反応すること、並びにリコンビナントヒトCD98の欠失変異体に対するHBJ127の反応性の検討よりエピトープは419-529番目に存在するという知見を考えあわせると、AFS配列がHBJ127のエピトープであることが示唆された。本エピトープ部分を含むペプチドを複数種合成し、これにキャリアタンパク質(KLH)を結合させ免疫原を調製した。これまでに、ペプチド-KLH複合体でマウスを免疫し、免疫原に対する血中抗体価の上昇を確認した。
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