研究課題/領域番号 |
17590473
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
小林 英幸 宮崎大学, 医学部, 助教授 (40148953)
|
研究分担者 |
和田 明彦 宮崎大学, 医学部, 教授 (30131949)
柳田 俊彦 宮崎大学, 医学部, 助手 (60295227)
横尾 宏毅 宮崎大学, 医学部, 助手 (30332894)
|
キーワード | 脳微小血管 / アクアポリン / 糖質コルチコイド / 脳浮腫 / 内皮細胞 / アストロサイト / 発現調節 / ラフト |
研究概要 |
脳微小血管のアクアポリン1(AQP1)の発現・局在調節機構を解析し、その病態生理学的意義を明らかにしようとした。 ラット大脳皮質から調製した微小血管は、AQP1の発現量は少なく、細胞培養すると増加した。初代培養脳微小血管内皮細胞培養、または、SV40で不死化したラット脳微小血管内皮細胞GP8に、アストロサイトの培養液を添加し培養するとAQP1の発現は減少した。よって、アストロサイト由来可溶性因子によりAQP1の発現は抑制されていることが判明した。 一方、脳浮腫治療薬によるAQP1の発現変化を調べるため、GP8細胞を糖質コルチコイドであるデキサメタゾン存在下で培養した。デキサメタゾンによって、AQP1蛋白レベルは、濃度依存的・時間依存的に増加した。また、AQP1 mRNAレベルは増加したが、mRNAの崩壊速度は変化せず、AQP1遺伝子の転写が増加することにより、発現が上昇することが判明した。免疫組織染色では、AQP1は細胞膜のみならず、細胞内にも局在していた。 AQP1の細胞内輸送が、脂質との相互作用によって調節されているかを調べるため、膜の脂質ミクロドメインであるラフトにAQP1が存在するか否かを調べた。GP8細胞の膜分画を界面活性剤で処理後、密度勾配遠心で分離すると、AQP1は、デキサメタゾン処理細胞でも非処理細胞でも、ラフトからなる界面活性剤不溶性分画に回収された。よって、AQP1の細胞内輸送にはラフトとの相互作用が重要であること、また糖質コルチコイドによる脳浮腫改善効果は、AQP1の発現上昇と関連する可能性が示唆された。
|