研究課題/領域番号 |
17590474
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研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
田川 辰也 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (50347142)
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研究分担者 |
植田 真一郎 琉球大学, 大学院医学研究科, 教授 (80285105)
山川 研 琉球大学, 大学院医学研究科, 助手 (00363664)
大屋 祐輔 琉球大学, 医学部, 助教授 (30240964)
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キーワード | 循環器・高血圧 / 糖尿病 / 脳・神経 / 薬理学 |
研究概要 |
代謝症候群では血中の遊離脂肪酸(FFA)が上昇している。健常成人に脂肪製剤を投与し、血中のFFAを上昇させると血管内皮機能が低下することから、代謝症候群のモデルとして以下の研究を行った。プレチスモグラフを用いて前腕血流量を測定し、アセチルコリン(ACh)による前腕血流量の変化を測定した。脂肪製剤の投与によるFFAの上昇によりアセチルコリンに対する血管拡張反応は有意に低下した。昨年度、FFAによる血管内皮機能の低下はレニン-アンジオテンシン(RA)系阻害薬により予防できること、一酸化炭素(NO)産生酵素阻害薬による血管内皮からのNO産生阻害下では、FFAの投与によるAChに対する血管拡張反応の低下が生じないことを解明した。今年度、FFAの投与による血管内皮機能低下はRho-kinase阻害薬である塩酸ファスジルの投与で改善すること、さらにその改善度は塩酸ファスジルの用量に依存していることを解明した。以上の結果より、FFAによる血管内皮機能低下は、主にNOの産生もしくは利用の障害で、RA系の亢進の結果生じるRho-kinase系の亢進、酸化ストレスの増加が関与していると考えられた。また、将来Rho-kinase阻害薬が代謝症候群の抗動脈硬化実になる可能性が示唆された。 高血圧発症における中枢のRA系の役割を調べるために動物実験を行った。ストレス性高血圧モデルであるコンジェニックラットに、エアージェットストレスを与えると、血圧が上昇し、交感神経活動が亢進する。この昇圧反応は、脳室内へのアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)のカンデサルタン投与で抑制されることを昨年度解明したが、、今年度の研究では、カンデサルタンの経口投与がこの昇圧反応を抑制した。この結果から、ヒトにおけるストレス性高血圧に、中枢移行性のあるARBの経口投与が有効であると考えられる。
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