有機合成したパム類似体(2-PAM、3-PAM及び4-PAMのalkyl化合物、isoamyl基あるいはethylhexyl基を持つ分子状alkyl化合物、alkylated benzyl化合物)の中で、sarin類似化合物isoprppyl-4-nitrophenyl methyl phosphonate(INMP)によって阻害されたヒト血球AChE活性の復活の程度が比較的強かった化合物5種類、2-hydroxyiminomethyl-N-[p-(tert-butyl)benzyl]pyridinium(これを2-PATBとするが、他は略称のみ記載する。)、3-PATB、4-PATB、4-PAPE及び4-PAOを選択し、はじめにラット静注によるLD50(mg/kg)を求めた。その結果、これらパム類似体のLD50は4.3〜21.9mg/kgと、2-PAM(約150mg/kg)に比べて極めて毒性の強いことが明らかとなった。これら心毒性の原因の一つとして、オキシダーゼ活性抑制が確認され、発生するフリーラジカルが関与する可能性が示唆された。次に、LD50の10%及び5%濃度をそれぞれ調製し、ラット尾静脈から投与後、ブレインマイクロダイアリシス法により、1時間ごとに3時間までの透析液をラット脳より回収した。これまで、2-PAMの検出にはHPLC-UVを用いていたが、投与したパム類似体はいずれもUV吸収が極めて低く、検出が困難であったことから、LC-MSによる検出を試みた。その結果、4-PAPEと4-PAOが透析液中に検出され、BBBを通過する可能性が示唆された。
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