研究概要 |
全身性エリテマトーデス(SLE)は多彩な自己抗体出現を特徴とし、特に抗DNA抗体による免疫複合体形成により臓器障害が発現するとされている代表的な自己免疫疾患である。今年度の成果として,まず本研究では従来知られているII型及びIII型アレルギー機序とは異なり、SLE由来免疫グロブリン(IgG)特に抗DNA抗体が直接的に各種末梢血単核球に侵入し、細胞内ライソゾームに到達する事を示した。これらは、フローサイトメトリー、共焦点レーザー顕微鏡解析で確認され、またさらに,これら抗体は,細胞内から抽出できる抗DNA抗体活性を示す免疫グロブリンとして証明された。フローサイトメトリーによる多重染色による解析より,抗DNA抗体が侵入する標的細胞は、CD8(+)CD45RA(+)T細胞、CD20陽性B細胞、CD56陽性NK細胞、CD14陽性単球、Lineage陰性HLA-DR陽性の樹状細胞であることが確認された。ついで抗体の細胞内への侵入機序を検討した。単球由来樹状細胞において抗DNA抗体のみならず健常人由来IgGも、少量ではあるがFc receptorを介する機序で侵入しえた。一方、抗DNA抗体の細胞内侵入はFc receptor blockingでは抑制されず,フリーDNAの存在で阻止されることから、Fcレセプターを介する経路は主要ではなく抗DNA抗体のDNA結合部位を介する細胞表面レセプターの存在が重要と考えられた。
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