研究課題/領域番号 |
17590485
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
野村 文夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80164739)
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研究分担者 |
朝長 毅 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (80227644)
宮崎 勝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70166156)
山口 武人 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (00241969)
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キーワード | プロテオーム / 食道癌 / IPMN / プロテインチップシステム |
研究概要 |
ポストゲノム時代に入り、ゲノムに対応する用語としてプロテオームが登場し、その解析技術の急速な進歩に伴い、疾患プロテオミクスが注目されている。消化器系悪性腫瘍においては各種画像診断、内視鏡診断を駆使した早期診断体系が組まれているが、各検査の盲点があることに加えて、検査の非侵襲性も求められている。 そこで、プロテインチップシステム(SELDI-TOF MS)と多重蛍光標識タンパク質発現ディファレンス解析法を独自に組み合わせた網羅的プロテオーム解析技術を利用し、消化器系悪性腫瘍の血清プロテオーム解析を行った。初年度は食道がんと膵がんを対象とし、食道がん患者の術前、術後血清の比較解析をイオン交換チップを組み合わせたSELDI-TOF MSにより行い、前後で発現量の変化が明らかな数個のピークを検出し、うち1つのピークについてはHPLC法を組み合わせて部分精製、同定をおこなった(投稿中)。現在、同タンパク質をより簡便に検出するためのアッセイ系の構築を進めている。一方、外科切除術が施行された計12例の食道がん症例の癌部、非癌部を対象とし、多重蛍光標識タンパク質発現ディファレンシャル法による解析をおこなった。癌部、非癌部間で発現レベルが異なるスポットが計74個あり、そのうち51スポットを同定することができた。その中でも特に195kDaのタンパク質は食道がんの非癌部と比較して、癌部で著明に発現が低下していた。この変化はウェスタンブロット、免疫組織学的染色によっても確認された(Proteomics 2006)。 一方、ERCPを施行した慢性膵炎、膵管がん、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)症例から検査時に膵液を採取し、SELDI-TOF MSによる解析をおこない、特にIPMNでその発現が増加しているピークが検出された。現在、その精製、同定を進めている。
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