研究課題/領域番号 |
17590494
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山田 恭暉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60145232)
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研究分担者 |
長谷川 寛雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00398166)
上平 憲 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80108290)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | ユビキチン / プロテアソーム / 悪性腫瘍 / ATL / p53 / Mdm2 / HTLV |
研究概要 |
ユビキチン・プロテアソーム系は細胞周期制御因子やシグナル伝達因子など多数の蛋白の分解に関わっており、その異常は悪性腫瘍を含めた多くの疾患の発症に関わっている。プロテアソーム阻害剤であるBortezomibは既に多発性骨髄腫に対する治療薬として欠かせない存在になっており、今後もユビキチン・プロテアソーム系を標的にした新しい治療薬が開発されると想われる。このような状況にありながら臨床検体についてユビキチン・プロテアソーム系を解析し、その結果を検査データとして利用する試みはない。 そこで本研究ではユビキチン・プロテアソーム系の解析を検査法として確立させることを目的として、私達が長年研究を続けている成人T細胞白血病(ATL)をモデル疾患として研究を始めた。ユビキチンリガーゼ(E3)の一つであるSCF^<Fb11/Skp2>の発現量は悪性腫瘍において悪性度と相関することが知られているため、まずSCF^<Fb11/Skp2>の発現量について検討した。その結果ATL細胞ではSCF^<Fb11/Skp2>mRNAはまったく増加していないことが明らかになった。各種E3についてさらに検討を進めたところ、癌抑制遺伝子p53のE3であるMdm2は正常細胞と比較して有意に発現が増加していた。Mdm2の発現量はATLの悪性度と相関しないことから、Mdm2測定はATLの早期診断に有用であると想われる。 最近Mdm2の機能を特異的に抑制する新規抗癌剤であるNutlin-3aが開発されて注目されている。ATL細胞はMdm2を高発現しているためNutlin-3aに対する感受性を検討した。その結果ATL細胞はNutlin-3aに対して高い感受性を示すことが明らかになった。一方、p53遺伝子変異のある細胞にはまったく奏功しない。私達はATLの85%はp53がwildtypeであることを明らかにしており、Nutlin-3aはATL症例の多くで奏功すると想われる。 さらに最近私達は脱ユビキチン化酵素でありNF-kBの活性化を抑制することで知られているCYLD遺伝子がATL細胞で欠損していることをマイクロアレイ法で明らかにした。これらの結果を統合し、新しいユビキチン・プロテアソーム系に対する検査法の確立につなげる予定である。
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