宮崎マホート研究において長期フォローアップされたHTLV-1キャリア約300名のうち、10年以上の期間をあけて2回以上のPBMCの保存がなされている対象者よりゲノムDNAを抽出し、HTLV-1プロウイルス量とIL-PCR法による感染細胞のクローナリティの測定を行っている。これまでに対象者を特定し、ゲノムDNAの抽出を行った。約半数についてはプロウイルス量の測定を終了し、キャリアではPBMCの1%以上が感染している高ウイルスキャリアが約1割存在していることが判明している。IL-PCR法については多数検体を処理するため、使用する酵素を変更した変法の開発を行い、ほぼ終了した。現在、増幅産物をクローニング、RFLP法により解析し、10年以上間隔をあけた2時点で共通のクローンの検出を試みている。今後上記実験によって得られた長期維持HTLV-1感染細胞クローンのプロウイルスflanking regionのDNA sequenceを同定し、これらのプロウイルスを特異的に増幅できるプライマーを作成する。このプライマーを用いてクローン特異的PCRを行い、長期維持HTLV-1感染細胞クローンに組み込まれているプロウイルスのTax coding regionの全シークエンスを決定、長期維持HTLV-1感染細胞クローンがほかのクローンと異なり10年以上増殖維持される仕組みを解析する。すでに一部の対象者についてはシークエンスの決定を行っている。また液体窒素下で生細胞として保存した感染細胞はコロニーとしてクローニングすることが可能である。長期維持HTLV-1感染細胞クローンの一部において染色体異常やsomatic mutationがすでに蓄積されている可能性が高い。現在凍結保存細胞を融解し、さまざまな条件で培養することによりこの解析が可能な方法論を検討中である。
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