研究課題/領域番号 |
17590508
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
土地 実礼 千葉大学, 大学院医学研究院, 助手 (30376371)
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研究分担者 |
小林 悦子 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (80097427)
諏訪園 靖 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教授 (90302546)
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キーワード | 生活習慣病 / 交代制勤務 / 疫学研究 / 縦断研究 / 産業保健 |
研究概要 |
「生活習慣病」(Life-style related diseases)の定義は、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と規定され、インスリン非依存性糖尿病(成人型糖尿病)、肥満、高脂血症(家族性を除く)、高尿酸血症、循環器疾患(先天性を除く)、大腸癌(家族性を除く)、高血圧症、肺扁平上皮癌、慢性気管支炎、肺気腫、アルコール性肝障害、歯周病などが含まれるとされている。 その一方で、産業構造や社会経済の変化によるサービスの24時間化や介護サービスの開始などにより深夜勤務を含む交代制勤務に従事する労働人口が増加しており、2005年の日本の厚生労働省の報告では、全企業のうち22.7%の企業が深夜業を含む交代制勤務を採用している。勤務形態は生活習慣形成の主たる因子であり、交代制勤務は非交代制勤務に比較して労働者に与える肉体的・精神的ストレスが大きいといわれている。 このような背景を考えて、交代制勤務と生活習慣病との関連性を包括的に究明することが予防医学上、現時点におけるきわめて重要な研究課題と考えるに至り、本研究を実施した。 今回の研究では生活習慣病として高血圧症、糖尿病、高脂血症、肥満、高尿酸血症、肝機能障害、脳血管疾患、虚血性心疾患を取り上げ、各々について、交代制勤務従事者における生活習慣病罹患への影響を生活習慣要因、労働環境要因を考慮し、非従事者と縦断的に比較して明らかにした。 本年度の業績として、対象者の健康診断記録(健康診断個人票)および問診情報の整理を行い、交代性勤務の有無をはじめとした生活習慣要因、労働環境要因が生活習慣病発症にどのように影響しているのかを統計的に解析した。解析対象とした生活習慣病は高血圧(収縮期高血圧・拡張期高血圧を含む)、高総コレステロール血症、低HDLコレステロール血症、糖尿病、高尿酸血症、肝機能障害、肥満、心疾患発症、脳血管疾患発症、BMIの5%および10%増加で、それぞれの疾患に対してプールドロジスティック回帰分析を行った。 交代勤務と有意に関連のある生活習慣病は高血圧症(OR:1.123 CI:1.029-1.225)、拡張期高血圧(OR:1.361 CI:1.192-1.555)、高脂血症(総コレステロール高値)(OR:1.124 CI:1.030-1.226)、BMI5%増加(OR:1.129 CI:1.048-1.217)であった。一方、脳血管疾患については交代勤務従事者の方が常昼勤務者よりも発症リスクが有意に少なかった(OR:0.412 CI:0.186-0.912)。 また、喫煙習慣のある者はない者と比較して、有意に総コレステロール値が高かった(OR:1.124 CI:1.026-1.231)。
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