今回の研究の目的は、慢性疲労を訴える長時間勤務従事者に多く見られる睡眠関連自覚症状と睡眠パターンの循環器危険因子に対する影響を検討し、その関係を明らかにすることである。特に長時間勤務者における慢性疲労の初期症状と考えられる睡眠の質、量及びパターンを数量化することにより、長時間勤務者における睡眠症状の得点化とスクリーニングテストヘの活用を目的とする。 平成17年度は研究計画書を策定し、協力事業場と契約を締結して、健診時を利用した調査及び健康診断成績からなるデータベースを作成した。また、朝型夜型パターン調査用紙(Morning Evening Scale)の簡易版を作成した。平成18年度は引き続きデータベースの修正と追加とを行い、得られたデータベースの解析を行い、睡眠と慢性疲労、メンタルヘルス及び循環器危険因子との関連について検討した。 調査においては既知の他の労働要因について考慮し、勤務環境(職種、交代勤務の有無とその種類)、勤務状況(平日の始業時間、就業時間、休日勤務日数、休日勤務時間、通勤時問等)等の調査を行い、実態を反映した労働時間を把握する質問票を開発した。慢性疲労の評価にはCFSIを用い、精神健康度の評価には抑うつ度調査を用いた。 解析においては睡眠の質、量及び生活の朝型夜型パターンによる群分けを行い、共分散分析及び共分散構造分析を行い、睡眠と疲労及び抑うつとの関連を検討した。同時に長時間勤務と精神健康度への影響についても検討を行った。 結果として、調査対象においては夜型パターンがほとんど在籍せず、軽度夜型パターンと朝型および怪度朝型パターンに区分された。怪度夜型パターンでは朝型パターンに比べて長時間労働による疲労は初期には小さいが、労働時間が延長することにより慢性疲労度、ストレスは強くなる傾向が認められた。一方の朝型パターンでは、月労働時間260時間に閾値を持つ影響が認められた。
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