研究課題/領域番号 |
17590528
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研究機関 | 三重短期大学 |
研究代表者 |
伊藤 貴美子 三重短期大学, 生活科学科, 助教授 (90369611)
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研究分担者 |
村田 真理子 三重大学, 医学部, 講師 (10171141)
平工 雄介 三重大学, 医学部, 助手 (30324510)
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キーワード | 抗酸化健康食品 / コエンザイムQ_<10> / 遺伝子損傷 / 8-hydroxydeoxyguanosine |
研究概要 |
近年、高齢化の進展や健康意識の高まりから、健康効果を謳う多種多様な食品やサプリメントが注目を集めている。とりわけ、生活習慣病や老化に酸化ストレスの関与が示唆されていることから、抗酸化食品の積極的な摂取が推奨されている。しかし、抗酸化物質の過量摂取による健康障害の可能性も大規模疫学研究において示されており、申請者らは抗酸化食品が生体内で酸化的にDNAを損傷する機構を明らかにしている[J.Biol.Chem(2000),Biochemistry(2004)]。本研究は、抗酸化健康食品の健康影響について、最近特に関心が高いコエンザイムQ_<10>(CoQ_<10>)を中心に、遺伝子損傷性を指標として安全性を評価し、更に遺伝子損傷の抑制効果を解析し有効性を検討することを目的としている。本年度は主にCoQ_<10>の安全性評価のための基礎的研究を実施した。CoQ_<10>で処理したヒト由来細胞(HL-60)からDNAを抽出し、酸化生成物8-hydroxydeoxyguanosine(8-OHdG)を電気化学検出器付HPLCを用いて検討したところ、細胞内8-OHdG量の増加を示唆する予備結果が得られた。またcalf thymus DNAを用いた実験からもCoQ_<10>が8-OHdG生成量の増加に関与する可能性が示唆された。ヒトがん関連遺伝子のDNA断片を用いた解析では、CoQ_<10>に紫外線を照射するとCu(II)の存在下で酸化的DNA損傷が認められた。現在、遺伝子傷性及び損傷機構をより詳細に解析するための実験が継続されている。また、生体試料中の8-OHdGを指標としたヒト短期介入試験による抗酸化食品の安全性・有効性評価法の確立を目指して、サンプリングや分析方法、健常者の正常値、交絡因子などについても検討を行った。更に、健常ボランティア8名を対象にしたCoQ_<10>摂取による予備介入試験では興味深い結果を得ており、現在信頼性の高い介入試験の実施に向けて詳細を検討中である。今後は上記の安全性評価の研究とともに、遺伝子損傷の抑制効果の解析による有効性評価の研究にも着手し、CoQ_<10>の生体影響について総合的に考察する予定である。
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