研究課題/領域番号 |
17590529
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研究機関 | 独立行政法人労働安全衛生総合研究所(産業医学総合研究所) |
研究代表者 |
王 瑞生 独立行政法人労働安全衛生総合研究所(産業医学総合研究所), 健康障害予防研究グループ, 上席研究員 (10321895)
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研究分担者 |
須田 恵 独立行政法人労働安全衛生総合研究所(産業医学総合研究所), 有害性評価研究グループ, 主任研究員 (90415969)
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キーワード | グリコール誘導体 / エチルセロソルブ / 生殖毒性 / ALDH2遺伝子 / ノックアウトマウス / 精子運動能 |
研究概要 |
今までの実験で、代表的なグリコール誘導体の一つであるエチレングリコールモノエチルエーテル(EGEE)投与はマウスの精子運動率や前進性精子の比率の低下、精巣体重比の減少などがワイルドタイプのマウスのみに認められ、Aldh2遺伝子ノツクアウトマウスにおいては殆ど影響が認められなかったことが明らかとなり、EGEEの毒性はその代謝物によることを強く示唆した。 もう1つのグリコール誘導体であるエチレングリコールモノブチルエーテル(EGBE)は、構造的にEGEEと類似しているが、毒性が非常に弱いと知られている。そのため、EGEEの代替品として使われることがよくある。今回、EGBE単独投与時の毒性、混合投与時EGEEの生殖毒性への影響などについて検討し、グリコール誘導体の毒性の解明を試みた。 EGEEとEGBEを600m/kgの用量で単独、または混合で、雄のワイルドタイプとAldh2遺伝子ノックアウトマウスに2週間連続投与した。ワイルドタイプのマウスにおいては、EGBE巣窟与は精巣重量などに影響を与えていなかったが、混合投与およびEGEE単独投与の場合、精巣萎縮が認められた。また、輸精管における精子運動能への影響については、EGBEの影響が認められなかったが、EGEEの場合、有意に阻害され、混合群においても、同程度まで影響された。Aldh2遺伝子ノツクアウトマウスにおいては、どちらの投与群においても、精子運動能の有意な変化は認められなかった。これらの結果は、EGBEの毒性は殆どなく、EGEEと混合投与時の生殖毒性はEGEEによるもので、これに対してもEGBEの影響はなかったことを示唆した。今後、この2種類のグリコール誘導体の尿中代謝物の解析を行い、代謝の段階における相互作用も解明したい。
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