【目的】妊娠ラットに甲状腺ホルモン阻害剤メチマゾール(MMI)を投与し、仔ラットにADHDの特徴である注意障害が生じるかどうかを検証した。 【方法】MMIを飲料水に混入し、妊娠15日〜出産後21日まで投与した。濃度は0.002%(低濃度群)と0.02%(高濃度群)の2条件。離乳後、生後3ヶ月まで自由摂食条件で飼育。オペラント条件づけを用いた信号検出訓練では、試行開始後にターゲット(光)が点灯。制限時間内にレバーを押すと報酬が与えられ(ヒット反応)、反応がないとターゲットは消灯した。10秒の試行間間隔を経て次の試行に移った。ターゲットは試行開始後0、7.4、20、42.5秒後のいずれかに点灯し、提示順序はランダム。制限時間は16、8、4秒の4通りで、下降系列で実施した。 【結果】4通りのターゲット提示時間ごとにヒット%を求めた。 1、制限時間16秒:オスはMMIとターゲット提示時間の主効果、交互作用なし。メスはMMIとターゲット提示時間の主効果、交互作用が全て有意。高濃度群メスはターゲット提示時間が短いほどヒット%が低い。 2、制限時間8秒:オスはターゲット提示時間の主効果が有意。提示時間が短いほどヒット%が低い。メスはMMIとターゲット提示時間の主効果、交互作用が全て有意。高濃度群メスはターゲット提示時間が短いほどヒット%が低い。 3、制限時間4秒:オス、メスともにMMIとターゲット提示時間の主効果、交互作用が全て有意。高濃度群はオス、メスともにターゲット提示時間が短いほどヒット%が低い。 【考察】オス、メスともに高濃度群で注意障害が生じていることが示唆された。試行開始後すぐにターゲットが提示される場合ほど、制限時間が短い場合ほど、成績が悪い。
|