研究課題/領域番号 |
17590545
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岩永 正子 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (00372772)
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研究分担者 |
朝長 万左男 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (40100854)
早田 みどり 財団法人放射線影響研究所, 疫学部, 副部長(研究員) (00359457)
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キーワード | 骨髄異形成症候群 / 原爆被爆者集団 / 放射線被爆 / 疫学研究 / 前白血病病態 / がん登録 / データベース |
研究概要 |
骨髄異形成症候群(Myelodysplastic syndromes, MDS)は前白血病病態として知られ、白血病同様、放射線曝露が病因の一つとして考えられているが、これまで放射線曝露とMDS発生の関連について包括的に調査した疫学研究は少なく、原爆被爆者集団においてさえも明確な結論が得られていない。本研究は放射線被爆のMDS発生に及ぼす影響を疫学手法により明らかにすることを目的とする。平成17年度は、1980〜2004年までに診断された解析可能な被爆者のMDS症例162例を特定し、男女別・被曝時年齢別・被曝距離別・EAB亜分類別に発生数と発生率を求めた。母集団としては被爆者データベースより1980年1月1日時点で生存していた被爆者87496人を用いた。その結果、10万人年あたりの粗発生率は10.7人で、1.5km以内の近距離被爆者で約4倍発生率が高く、高率に白血病に移行する病型ほど近距離被爆における発生率が高い、ということが明らかとなった。平成18年度は、非被爆者集団と被爆者集団における発生率の比較を行った。被爆者母集団は長崎県より公表される地域別被爆者健康手帳所持者数をもとに1980年より5年ごとの総数を求め、非被爆者母集団は長崎県より5年ごとに公表される地域別・性別・年齢別人口をもとに被爆者と年齢をマッチさせた数を求めた後に被爆者数を減じて総数を求め、それぞれ粗人年を計算した。対象地域は長崎市のみと長崎市医療圏(長崎市と近郊2町)の2つで検討した。長崎市のみの地域で診断された被爆者のMDS症例は165例、非被爆者のMDSは160例であった。10万人年あたりの粗発生率は被爆者で10.0人、非被爆者で649人と計算され、被爆者集団における発生率は非被爆者集団より1.5倍高いという結果が得られた。長崎市医療圏でもほぼ同様であった。今後は被曝線量との関連を明らかにする必要がある。
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