研究課題/領域番号 |
17590547
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
横尾 美智代 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (00336158)
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研究分担者 |
中込 治 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (70143047)
宮城 由美子 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (20353170)
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キーワード | ウイルス / 社会医学 / 感染症 / 下痢症 / 小児 |
研究概要 |
昨年度、北九州市内7保育園に通園している園児を持つ保護者(約1000名)の協力を得て、ロタウイルス下痢症による入院調査を実施した。結果、下痢を主たる症状とする入院経験のある乳幼児は、全体の約7.1%であった。下痢症による入院患者のうち、ロタウイルス関連疾患(乳児嘔吐下痢症、白色便、ロタウイルス胃腸炎)と診断された者は入院全体の45%を占めていた。ロタウイルス関連疾患とロタ以外の下痢症入院で入院日数を比較したところ、非ロタウイルス関連下痢症入院は、ほとんどのケースが1週間以下の入院期間であったのに対し、ロタウイルス関連入院の場合は全体の7割が1週間以上の入院であり、ロタウイルス関連疾患とそれ以外の下痢症による入院では、ロタウイルス関連疾患の方が長期間の入院を必要とすることが明らかになった。入院時に見られた症状(下痢以外)は、ロタウイルス下痢症の場合、吐き気、脱水を伴うケースが多くみられたが、発熱の併発は多くはなかった。年齢階層別入院発生率をすべての下痢症入院で計算すると、6ヶ月未満児は3.95/1000人年、6ヶ月-12ヶ月未満児は38.3/1000人年、12-24ヶ月未満児は30.2/1000人年、25-36ヶ月未満児は17.7/1000人年であった。ロタウイルス下痢症関連疾患のみの場合、6ヶ月未満児はゼロ、6-12ヶ月未満は22.0/1000人年、12-24ヶ月未満児は15.4/1000人年、25-36ヶ月未満児は6.6/1000人年であった。下痢症による入院は6ヶ月未満児においても散発していることが確認されたが、ロタウイルスによる入院は一例もみられなかった。ロタウイルスによる入院は生後6ヶ月以降から2歳未満の時期に多くみられた。さらに、3歳までの累積罹患率はすべての下痢症による入院は6.2%、ロタウイルス関連下痢症による入院は3.2%であった。3歳までに下痢症による入院を経験する乳幼児は約16人にひとり、ロタウイルス関連下痢症による入院を経験する乳幼児は約30人にひとりという結果が得られた。この値は、他の先進国の入院状況やすでに日本国内で推計されている累積罹患率(15-40人にひとり)と類似した値を示したことから妥当性があるといえよう。現在、本結果の論文化を進めている。今後は、ロタウイルスワクチンに対する意識調査を行う予定である。
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